Step5: 感染
桑の葉を食べて育った蚕は、その体内に桑の葉などを経由して様々な菌を取り込んでいる場合があります。冬虫夏草菌は感染力の弱い菌である上に、そうした「先客」の存在があるために、接種された冬虫夏草菌が蚕蛹に感染するのはけして容易なことではありません。
それでも、冬虫夏草に適した環境で保管され、冬虫夏草菌は接種から1週間程度で蚕蛹に確実に感染し、蚕蛹を栄養分として菌糸を全体に広げていきます。
接種からおよそ一月で冬虫夏草菌は蚕蛹内部全体に感染し、節や気門(腹部の両側にある呼吸用の孔)など皮膚の比較的弱い部分から菌糸があふれ出してきます。
このように菌糸が完全に回った段階で、蚕蛹は別の容器に移され、冬虫夏草の子実体が発生するのに適した環境の部屋へと移されます。